ニコンF FTN ’99年12月
しばらくカメラ収集を控えていたのですが
最近少々懐にゆとりができたもので、
またぞろ収集病が再発したようです。
近所のフリーマーケットでリコーフレックス、
そして行きつけのカメラ店でのニコンFと
1ヶ月の間に続けて購入してしまいました。
どちらも実際に写すつもりはないのですが、
コレクション的には押さえておきたいカメラです。
リコーフレックスは40年以上前の2眼レフ、
レンズに少々カビがあり只今隔離状態。
このカメラについては後日ネタが尽きたときにでも。

さて今回はニコンF FTNです。
いつものカメラ店の中古ガラスケース、
フィルム現像に立ち寄る度に物欲しそうに覗くのですが、
今回はこのFとF2が並んでいました。
どちらも状態が良さそうですが、
店主曰く保証は付けられないが完動品とのこと。

F3を持つ身分としてはやはり日本の1眼レフの
エポックメーキングとしてのFに心ひかれます。
映画”マジソン郡の橋”でクリント・イーストウッドが
使っていたカメラですね。いい映画でした。
中年オヤジとしてはあこがれます。 消費税込みで6万5千円也。

後で雑誌の中古欄を見ると大体この程度でしたが、
あまり我慢をすると体に悪いもので...
さて使用感といきたいところですが、
最初から実写するつもりがないので何とも言えないのですが、
現在発売中のレンズが使えシャッター音からは
間違いのない写りでしょう。
特に1/4秒以下の 長時間露光の音がすばらしい。

現在の最高級カメラと比較しても遜色のない、むしろ上を行く精密感です。
説明書もない状態ですので機能的には解説できないのですが、
2年前に古本市で手に入れた ”ニコンのすべて”昭和51年朝日ソノラマ刊に
次の記述がありましたので掲載しておきます。

この本ではF2からのニコンを解説していますが、
この中でF2開発にあたっての組み込むべき
新規仕様とあります。従って記述にないものがFの仕様でしょうか。( )内がF
* 最高速シャッタースピード1/2000を新設    (1/1000) 
* 完全多重露出機構を新設              (なし)
* 2秒から10秒の長時間露出機構新設       (最長1秒・B)  
* シャッターボタンロック新設              (なし)
* 裏蓋部メモホルダー新設               (なし)    
* X接点を1/80に同調                 (1/60)
* シンクロタイムラグの自動切り替え機構       (?)     
* 裏蓋は丁番開閉式、着脱可              (裏,底一体脱着)
* 電池室をボディ底部にフォトミック部の小型化         
* ファインダー内に絞り値表示              (シャッタースピード)
* 接眼窓部にレディライト組み込み           (なし)    
* モータードライブ装置取り付け可巻き戻し付き    (なし)
* フォトミックの測光領域の拡大                
* 露出の自動化のためにEEコントロールユニット新設
ニコンFは昭和34年から12年間作り続けられたカメラですので、
現在のカメラからみると 使いにくく、機能的には比較にならないですが、
このカメラを構えると、その当時に考えられる 最良のカメラを
送り出していることが偲ばれます。
このカメラを基準に日本のカメラが発展していき、
やがてコンピューター搭載カメラに
繋がっていくかと思えば感慨深いものがあります。
ニコンF FTN ニコンF FTN(製造番号702万台)
ヘッドマークのロゴが斜めになってからの
ニコンには興味が湧きません。
F5は別格としてもボタン中心の操作で
有難味がもう一つ。
従って保有レンズも試写用の85mmf2.0一本のみ。
ニコンSに2階建てのように載せた
フォトミックファインダーがまた面白い。
そのファインダーがへたなコンパクトカメラより重く、
そしてライカのように裏底蓋がごっそり外れるため
昔の人はフィルムの入れ替えに苦労したでしょうね。
頭が異常に重く、取り落としそうになります。

しかし、このファインダーをはずすと
Fの三角屋根ファインダー取り付け用のプレートが
ついています。そこに、また一つニコンのロゴが
表れた時は感動しました。
ちなみにレンズについた爪はファインダーに
そのレンズの
絞り開放値を入力するためのものです。
このカメラを手に入れてやっと理解しました。